マイクロ波観測機器
ハイパースペクトル放射計
DSμRAD
概要
環境中の様々な周波数のマイクロ波を受信することによって、例えば大気中の水蒸気量や水分量などを計測することができます。
受信したマイクロ波を
信号処理機能付きダイレクトRFサンプラー
で培った広帯域なAD変換技術とデジタル分光処理により、高い周波数分解能のマイクロ波スペクトルが得られます。
エレックス工業はこの概念をマイクロ波ハイパースペクトル放射計(DSμRAD)▲1にて世界で初めて製品化▲2しました。
▲2 当社調べ
想定用途
国内外の気象機関・研究機関による地球環境研究(リモートセンシング)、電波利用監視
特徴
- 最大40GHzまでの直交2偏波を同時に輝度温度計測
- 広帯域なダイレクトRFサンプリング(アンダーサンプリング)技術による小型化
- 輝度温度の周波数間隔 14MHz
- 運用時、液体窒素やノイズダイオードなどのアクティブ素子を用いないパッシブ素子のみを用いた電力-輝度温度校正▲3
出版
本装置の概要及び評価結果はIEEEで論文として出版されています。
T. Maeda, N. Kawaguchi, K. Harada, K. Ozeki, Y. Chikahiro, H. Onuki, Y. Hayashi, K. Ema, K. Naoki, M. Nakayama, and T. Takano: Direct RF Sampling Hyperspectral Microwave Radiometer (DSμRAD) for Ground Use, IEEE Geoscience and Remote Sensing Letters, doi: 10.1109/LGRS.2020.2990707.
主要諸元
観測周波数 |
・帯域1 0.512~13.824GHz
・帯域2 13.824~27.648GHz ・帯域3 27.648~41.472GHz ※発注時に観測対象に合わせていずれかの帯域/複数帯域を選択 |
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観測偏波 |
垂直偏波・水平偏波
※発注時に観測対象に合わせてどちらか一方/両方を選択 |
スペクトル周波数間隔 | 13.5/27/54/108/216/432MHzから計測開始時に選択 |
積分時間 | 1/10/100/1000msecから計測開始時に選択 |
輝度温度 計測範囲 | 3~1200K |
輝度温度 計測精度 | Typ 1K(@300K) |
電源入力 | AC100~240V もしくは DC+12~24Vのバッテリー |
外形 | 700x270 x 270mm ゴム足・取手などの突起物を除く |
重量 | 最大30Kg(観測周波数帯域と観測偏波数に依存) |
観測風景
製品・サービスの概要
最大40GHzまでの直線両偏波(水平・垂直)を14MHzの周波数分解能で計測可能なデジタル分光方式のマイクロ波放射計。
スペアナと比べて時間変化する信号を見逃さない、アナログ総電力方式と比べ高精細に計測できる強みを持つ。
基盤技術
計測帯域のマイクロ波を、超高速にアナログ・デジタル変換し、周波数ごとの電力を求め、輝度温度に換算するデジタル分光方式を採用。
電力から輝度温度へ変換の際、取扱困難な液体窒素が不要な独自の新校正法を開発。
販売先分野
計測する物理量は、電力もしくは輝度温度であるが、ユーザー様と協力の形で、水蒸気量/風速/塩分濃度などの物理量の計測も可能である。
計測対象は人口電波だけでなく、自然由来の電波も計測可能である。
利用実績/想定利用シーン
【安全保障】不審船検出/国境監視/違法電波監視
【気象】気象レーダでは捉えられない水蒸気を計測し線状降水帯の予測精度向上
【航行支援】海や陸などの雪・氷の状態監視による船・車・飛行機の航行支援
PRポイント
機能・性能
【観測周波数(GHz)】帯域1:0.5~13.824、帯域2:13.824~27.648、帯域3:27.648~41.472
【観測偏波】垂直・水平
【積分時間】1/10/100/1000msecから選択
【電源】AC100~240V又はDC+12~32V
【重量】最大30Kg ※観測周波数と観測偏波はご発注時に任意に選択可能
コストパフォーマンス
従来型のマイクロ波放射計は、計測周波数が低解像度かつ飛々であり、計測周波数チャネルも2~10程度と少ない。
当社製品は最大で約3千の計測周波数チャネルを持ち、1チャンネルあたりの金額は圧倒的に低い。
適用メリット
最大40GHzまでの計測できる広帯域さと、時間変化する断続的な信号も見逃さない、高精細に観測できるデジタル分光方式の特徴を活かし、不審船検出・国境監視・違法電波監視などの安全保障分野に貢献が期待される。
その他
本装置はマイクロ波を送信せずに受信のみするパッシブな装置であることと、雲が多い日本や夜間でも可視光や赤外線と違い計測が可能なことが、他波長の観測機器と比べてアドバンテージがある。